フィリピンと山あれこれ(6)

知り合いのフィリピン人に「アンヘレスへ山登りに行く」と言ったら、「アンヘレスなんて、○○○あそびに行くところじゃないか」と言われてしまった。かつて、米空軍基地とともに栄えたアンヘレスの町は、ピナツボ火山の噴火被害、基地閉鎖に伴い、大きくその姿を変えている。ただし、いまだにナイトクラブやディスコの立ち並ぶ一角だけは、昔の名残りがある。

(1)アラヤット山・ルソン島中部(1,026m):1/5万図(Angeles)

パンパンガ州の平原の向こうに孤立して立つのがアラヤット山です。すでに紹介したマリア・マキリンの姉、マリア・シヌクアンの住む山ともいわれるが、こちらはそれほど山深くもなく、伝説の山という感じはしない。ただ、頂上直下にそびえるニードルピークの異様さには、何か魔物の住む雰囲気がしないでもない。

ふもとのアラヤット村には国立公園(National Park)があり、環境省の役人が常駐している。国立公園といっても、プールや遊具があるだけの「市民の森」といった感じで、宿泊用のロッジはあるものの、あまり利用されているとは思えない。

マニラから北に伸びるノースエクスプレスウェイは、これで有料道路かと思えるほど舗装状態が悪い。さらに、道路工事のための車線減少・変更が日常茶飯事になっていて、渋滞に輪をかけている。それでも、隣のブラカン州に入ると、左右には田んぼが広がり、車の数も減って、少しはスムーズに流れるようになる。

パンパンガ州に入ると、道路の両脇に人家が現れるようになり、大きなショッピングセンターが見えるとサン・フェルナンドICに着く。すぐに、メキシコという名の町を抜け、しばらく郊外を走るとサンタ・アナの町に着く。きれいな教会の前の通りが青空市場となっている。前方には、アラヤット山がそのどっしりとした姿を現し、登高意欲をそそる。

アラヤットの町はそれほど大きくなく、町を抜けた左側に「国立公園」の表示がある。そのまま、道沿いに進むと「国立公園」のゲートがあり、その駐車場に車を乗り入れる。すぐに、ぞろぞろと人が寄ってきて、まず、入り口で、入場料と駐車代合わせて90ペソを徴収される。さらに、「ガイドを一人500ペソで雇わないか」と聞かれ、「高い」と答えると、300ペソまで値を下げた。

公園の中には、売店、プール、休憩所などがあり、プール脇の階段を登ると、一旦公園の外に出て、柵沿いに進む。このまま山道になるかと思うと、再び車道に出る。目の前には、柵に囲まれた林が広がり、遊具やバンガローのような宿泊施設も見える。柵沿いに車道を歩き、右手に曲がると観光省の粗末な詰め所がある。ここから、道は狭まり、山に向かって登り勾配になる。そのまま車のわだちをたどるとしだいに右へ曲がっていくが、大きな木の下で左に入る。畑の脇を過ぎ、しばらく背の高い雑草の中を行く。ところどころ道に石が出ているので注意して進む。

やがて傾斜が強まり、木を伐採した跡の斜面に出た。傍らには、黄色いコスモスやら、赤いアザミに似たような花が植えられている。ここから、石の多い急な山道が始まる。ガイドの若者は、さっさと先に行ってしまい、足元に注意するでもなく、何の役にも立たない。なんとか、あえぎながら彼の後を追うと、右手に尾根がせまり、「ピーク」だと言う。なるほど、尾根上に大きな岩がいくつか重なっていて、その上に登ると、眼下に流れる川の畔にアラヤットの町が見える。

しかしながら、頂上直下のニードルピークは右手のはるか上に見えるし、「まだ、尾根の途中ではないか」と聞くと、ここが「ピーク」で、この先は別の山だと若者が答えた。これまでにもあったことだが、一つの山に「ピーク1」「ピーク2」といくつかの頂上があり、そのうちの一つに登れば、その山に登頂したことになるらしい。でも、この「ピーク」は観光客向けの山のこぶに過ぎない。

ここは、「腹が減った」と言う若者をなだめすかし、さらに岩の裏手を回りこむと、再び尾根上の歩きやすい道になった。傾斜も緩くなり登りやすい。どうやら、下から見えた肩の部分に来たらしい。一箇所、尾根を左に巻いた後、右の急な道を登るところがわかりにくいが、それ以外は道なりに進むと、再び傾斜が強まった後、頂上に出た。頂上は樹木に覆われ見晴らしがないが、少し先に行ったところが下り坂になっていて、目の前に、あのニードルピークがぽっこり立ち上がっている。さらに、左手を見ると、ここより高いピークがあり、稜線がつながっている。ただし、頂上には、建物とアンテナが立っている。若者に聞くと軍の施設だと言う。ちょっと心残りもあったが、ここはおとなしく引き返すことにした。

参考までに、関連するホームページを挙げます。

@http://www.mapua.org/mitmc/trail/it_arayat.html

[コースタイム]

マニラ 7:00−サン・フェルナンドIC 8:45−アラヤット国立公園 9:35−伐採跡地 10:15−尾根上「ピーク」 10:45−アラヤット山頂上 11:40〜12:05−アラヤット国立公園 13:30−サン・フェルナンドIC 14:15−マニラ 16:00(Oct..25, 2003)

(2)フィリピンの女性

個人的な比較で申し訳ありませんが、私の目から見た東南アジア3ヶ国の女性評は、「インドネシア=けなげな」、「マレーシア=かしこい」、「フィリピン=したたかな」です。けっして、フィリピン女性を悪くいうつもりではなく、率直な印象なのです。まあ、「けなげで強情だったり」、「ずるがしこい」こともありますので、ものはいい様です。

それにしても、「こー言えば、あー言う」、フィリピン女性の受け答えの速さ、口の達者なことには、いつも驚かされます。どこまで計算されているのかわからない、まるで誘導尋問にかけるような口調に、しだいに丸め込まれていくのです。この手にかかって、フィリピン女性と結婚した外人男性も多いと聞きます。(関係者がいたら、ごめんなさい。)でも、彼女達との結婚生活は結構大変そうです。次に挙げる約束を果たす自信のない男性は、ちょっと考えてね。

@1日1回以上、「お前を愛している」と言う。(愛情表現がないと、すぐに浮気を疑われる)
A常に所在をはっきりさせる。(@と同じだが、相手がどこにいるかはっきりしないと不安になるらしい)
B誕生日には必ずプレゼントする。(誕生日は最重要日、忘れるなどもってのほかです)
Cたまには、フィリピン語で声をかける。(フィリピンの言葉を尊重するのが大事です)
D日曜日には教会に行かせる。(宗教への傾倒の深さは日本人の想像以上です)
E週日は仕事に精を出す。(甲斐性のない男はすぐに捨てられるか、ぼろくそにいわれます)
Fドナリ声は決して上げない。(フィリピン国内で韓国人がきらわれる一番の理由です)
G家庭内暴力は厳禁です。(裁判に訴えられれば、外国人に勝ち目はない)
H妻の両親、兄弟、親戚を大切にする。(経済的支援も含めてです。さもないとGの裁判で、、、)
I当然のことながら、浮気はだめです。(逆上した妻に刺された男の記事がよく新聞に載ります)

そうそう、フィリピン女性のカンの鋭さは、ピカ一です。くれぐれも、彼女達をだまし通せるとは考えないことです。

追伸

上にも挙げたように、次回は、この国で「地震、雷、火事、、、」についで恐ろしいフィリピンの「裁判」についてです。

E-mail: tepscom@info.com.ph

ライン