フィリピンと山あれこれ(5)

フィリピンではようやく雨季が明け、来年の4月までは晴天の多い日が続きます。ただし、これはマニラをはじめとするルソン島西部からミンドロ、パラワン島にかけての話で、雨季が2月まで続くルソン島北部や南部、ビサヤ諸島中部、さらに雨季と乾季の区別がないミンダナオ島など、気候は様々です。したがって、マニラは晴れているのに、ルソン島北部のバギオでは大雨が降るというようなことも起こります。地方への旅行の際など事前に天気を知ることが大切ですが、明日の天気予報も満足に出されないお国柄、日本の天気図の左下隅と、「全球の気象衛星画像」のチェックがかかせません。

さて、11月1日は万聖節でお休み、ついでに10月31日も休みになりました。フィリピン政府は観光振興を兼ねて、休日のシフトによる3連休実施に熱心ですが、シフトの実施が直前になって決まるのと、そうでなくても渋滞のひどいマニラ周辺部の道路が混雑して、ありがた迷惑なところもあります。例年、4月第3週のホーリーウィーク(いわゆるイースター休日)は天候も安定しており、多くの人が旅行に出かけたり、田舎に帰ったりして、我々山屋にも稼ぎ時ですが、往復の交通手段の確保が大変です。

[注]

「全球の気象衛星画像」:東経135度を中心に南極から北極までを撮影した衛星画像で、インターネットでリアルタイムに入手できる。もちろん、撮影しているのは日本の気象衛星、、、ではなくて、今はアメリカの衛星を借りている。

(1)マキリン山・ルソン島中部(1,144m):1/5万図(Calamba)その2

林道は路肩が崩れたり、草木が茂ったりして廃道となっている。周囲は林に覆われ、視界はない。ちょっと心細い限りだが、道に迷うようなことはない。坦々と続く林道を行くと、木の幹に13と表示されているのに出合う。これまでにも、林道を走る車内から数字を見かけたが、歩き始めて最初のステーションだ。この先で、倒木の塊が林道をふさいでおり、踏み跡も細くなってくる。道は相変わらず山の中を巻くように続いていて、一向に高度の上がる気配がない。少し開けた平地を抜けたところで、尾根を回り込み暗い林の中に入ると道には岩がごろごろして歩きにくい。枯れ沢を右に渡るとまもなく尾根上に着き、向こうに谷らしきものが見えてくる。ここに、19の表示がある。

ここから、道は傾斜を増し、尾根を絡むように登っていく。これまでの緩登に慣れた体にはちょっときつい。途中で、休んでいる大学生のグループに出会う。男女七、八人といったところだろうか。さらに、四人のパーティーを追い越す。ちょっと疲れ気味な三人の女性の面倒をみている男に、声を掛けると、頂上まで登るという答えが返ってきた。木の根や岩の張り出した道には神経を使うし、踏み固められた斜面は、湿っていて滑りやすい。前方から、大勢の男女が降りてくるのに出会う。みんな若くて、中には高校生ぐらいの子もいる。ほとんど視界の得られない林の中、どろどろ、べたべたの地面では腰を下ろす場所もなく、ひたすら高度を稼ぐしかない。

右手に頂上らしきものを見てまもなく、目の前に高さ3mぐらいの岩が立ちはだかる。左手にはロープが下がり、女の子が必死によじ登っている。ここは、右手の中ほどにある木の根をつかみ、右足を伸ばした瞬間に激しい痛みがおそった。ここまで、飛ばしすぎたつけで、足がつったのだ。なんとか、腕の力だけで体を持ち上げ、その場に倒れこんだ。しばらく休んでから、恐る恐る足を地面につけ、ゆっくりと登り始める。大きな岩の上に立ち、後ろを振り返ると、ラグナ湖畔に広がる森や田んぼ、背後の山並みなどが望まれる絶好のポイントだった。さらに、尾根筋を忠実に登り、左手に曲がったところが頂上だった。ここには平らな地面が広がり、大勢の若者が休んでいる。やれやれ、やっとたどり着いた頂上だった。

参考までに、関連するホームページを挙げます。

@www.geocities.com/The Tropics/1030/itineraries/Makiling.htm

[コースタイム]

林道終点 11:25−ステーション13 11:45−ステーション21 12:20−マキリン山頂上 13:05〜13:50−ステーション19 14:30−15:10林道終点−UPLB 16:00−マニラ 18:00(Oct.4, 2003)

(2)フィリピンの休日

フィリピンでは、国民の90%以上がキリスト教徒であり、祝日もキリスト教にちなんだものが多くなっています。4月第3週のホーリーウィーク(今年は4月17日18日)、11月1日の万聖節、12月25日のクリスマスがそうです。この他、新年、勇者の日(4月9日シフトして7日)、メーデー、独立記念日(6月12日シフトして13日)、リサール記念日(12月30日)などが国民の休日になっています。これだけでは、日本よりもすくないですが。

大統領令による休日。これがくせもので、一週間位前になって急に決まることもあります。今年は、エドサ革命記念日(2月25日)、アキノ議員暗殺記念日(8月21日シフトして22日)、イスラム断食明け(11月26日)などがそうです。台風による政府機関の休業というのもありました。小学校みたいですが、これも大統領令です。さらに、州や市町村の休日(各市町村には守護聖人がいて、その生誕日など)もあります。隣町の事務所に電話したら休みだったなんてこともあります。まあ、家族の誕生日にも休んだりするお国柄、大目に見るしかありません。

E-mail: tepscom@info.com.ph

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