№.17-4753 尾瀬・平ヶ岳と景鶴山 5月3,4,5日 (3日間快晴)
L 加藤、SL相原、妹尾、大石、澤田、谷口、伊藤、綾部、ゲスト井上さん
ここ数年のGWは雪山が定番だったが、昨年は右手薬指の骨折もあり雪山山行には参加出来なかった。今年は例年以上の積雪に恵まれ、残雪期の尾瀬は大いに期待出来る。3月の富士山雪上講習会の際、加藤LからGWの平ヶ岳を打診され一も二もなく承諾した。この時期の尾瀬は雪も締まっているためワカンの必要もなく、つぼ足で歩けるのが良い。残雪期の尾瀬の記憶は近いところで2012年の景鶴山と2015年の赤倉岳・大白沢山がある。30年以上前の地図には丹後山から平ヶ岳・至仏山を歩いた赤線もあるが、暫く山から離れていた期間もあり、何時頃誰と歩いたのかが判然としない。
前日の5月2日、何時もの赤城高原SAに15時半に全員が集合。谷川や上州武尊が例年になく白く眩しい。遊歩道のテーブルを囲み、伊藤さんが作ってきてくれたお稲荷さんを美味しく頂く。前回は「道の駅しらさわ」で仮泊したが、今回は直接戸倉第1駐車場に入る。駐車場では仮泊用に持参したテントで、満開の桜のもと明日からの山行に備え英気を養った。
5月3日 快晴
駐車場での幕営は駐車スペースが充分にあり問題はなかった。中央に堂々と張っているグループもいたが我々は騒音での苦情を避けるため一番隅に張る。ザックの重さを少しでも軽くするため、駐車場で使ったテントは車に残した。戸倉第1駐車場はトイレもウォシュレットで快適だ。
撤収中に加藤Lから登山靴を自宅に置き忘れた旨告げられたが、ゴム長で充分の筈だ。鳩待峠へ向かう沿道の景色は前2回とは明らかに違う、雪が多い。鳩待峠は至仏へ向かうスキーヤー・登山者が7割以上か。朝のうちは雪面が固いのでアイゼンを付けて山の鼻に向け第一歩を踏み出した。
鳩待峠から山の鼻へは下りルート、足馴らしに丁度良い。ザックの重さも苦に成らない、体調が良いのだろう。川上川右岸のトレースは明瞭で何箇所か右側からの沢を越えて行くが、木道は出て無く残雪の量が多いことが分かる。懐かしい山の鼻ビジターセンターが見えてきた。
鳩待峠から正面奥が至仏山、山の鼻は右手方向 山の鼻に到着
山の鼻からは9割以上が雪原となっている尾瀬ヶ原を猫又川右岸に沿って横断していく。何時もの柳平手前のオオシラビソの日陰で休む。前方に白い尾根が見えるが、これは日崎山からスズヶ峰・JP(ジャンクションピーク)に続く尾根であり、我々が登るのは右の林に隠れた猫又川を右俣・左俣に分ける中間尾根である。猫又川二俣は左俣沿いに250m程進むと安心してスノーブリッジで渡れ、中間尾根に取り付く。
山の鼻から北西方向へ(正面は日崎山、スズヶ峰) 残雪が多いため楽にスノーブリッジを通過
山の鼻から猫又川に沿って北上し二俣へ
5年前は末端まで藪のため取り付けず150m左俣沿いに進み斜上したが、末端の雪稜から忠実に辿る。中間尾根には幾つもの登山靴、スノーシュー及びスキーのトレースが見られ入山者が多いことが窺える。尾根は小さなアップダウンを繰り返す。出来るだけ無駄な労力は使わないように工夫するが、なかなか思うようにはならない。
標高1550mからは急勾配となるがそれも標高差100mで登り切りBC地点を探す。10年前に加藤Lが幕営した流水の辺が中々見つからないが沢の音で確認出来た。今回は風を避けて林の中にテントを3張り設営した。その後は明日の平ヶ岳・景鶴山への強行軍に備え、相原は谷口さんと偵察に出掛ける。彼は雪山での山行経験が少ないと聞いていたが、中々どうして息も上がらずに確り付いて来る、体力は十分だ。大白沢山東肩までと思ったが北面のトラバースルートの中間地点まで足を延ばしてみた。二人パーティーが樹林越しに移動しているのを確認し、此所までとし主なポイントに赤布を縛り付けながらBCまで戻ることとする。
中間尾根をトラバース BC設営後に端午の節句を祝い集合写真
二俣より左股に入りスノーブリッジを渡り中間尾根をBCへ向けて登る
【コースタイム】
鳩待峠 7:15…8:12山の鼻8:40…猫又川二俣10:15…中間尾根取付き11:00…BC12:20
[偵察]BC12:40…大白沢山東肩13:10…トラバース中間点14:10…東肩14:40…BC15:00
5月4日 快晴
昨夜は4,5人用エスパースをAパーティーの相原、谷口、大石、綾部が利用したが、雪の上とは思えないほど暖かく快適な一夜であった。慌ただしい朝はテキパキと出来ない性格が災いして苦手だ。テント生活も登山技術の一つで、色々な技を持つ大石さんは実にスムーズだ。驚いたのはザックカバーの活用法、これを広げて個人装備を纏める技には恐れ入る。お湯を沸かし各自ジフィーズで腹ごしらえ、雪が締まっていたのでアイゼンを装着して出発。
大白沢山東肩までは標高差210m、赤布を確認しながら雪に被われた樹林帯を歩く。今日は長丁場、加藤Lから東肩から景鶴への出発は遅くとも13時迄と指示された。皆、調子は良さそうだ、何とかなるだろう。
Aパーティーが先行して出発 大白沢山東肩からの平ヶ岳
本隊も出発 留守部隊長
北面のトラバースでは1箇所上部から雪塊が落ちている箇所を素早く通過する。大白沢山からJPに掛けては数張りが幕営、既に何人かは平ヶ岳の頂上間近に黒点となって見える。1790mの最低鞍部ではアイゼンを外してデポ、残りの標高差350m。白沢山の手前・1895mの標高点からは丸い頂上に向けて広々とした雪堤歩きが始まった。
大白沢山東肩目指して 平ヶ岳が彼方に見える
BCより大白沢山東肩を越え北面トラバースしてJP(三叉路)
本日第1陣の山スキーヤーが二人下りてきた。こんな斜面で滑れたらどんなに楽しいか、羨ましい。キックステップを切って一歩一歩いくが、その後も続々とすれ違う。本日の平ヶ岳登頂者は我々も含めて40人以上に上った。頂上には積雪深を計るためか太陽光パネルの付いたポールがあるだけ、三角点の付近では頂上標示板も雪の下に埋もれていた。
只見川・利根川源流域の盟主の頂上からは会越の山々が白く輝いて見え、中ノ岳、荒沢岳、未丈・毛猛・守門方面、駒・朝日山群と枚挙に暇が無い。アットいう間に時間が経ち本隊の四人が到着、本隊を引っ張ったのはゲストとして参加してくれた北杜市の仲間の井上さんと聞いてビックリ、彼の着実な歩みには定評がある。
雪堤を平ヶ岳目指して 平ヶ岳目前
平ヶ岳山頂でAパーティー出迎え 本隊下山開始
白沢山から最低鞍部1790mを越えて平ヶ岳
Aパーティーは本隊と合流も早々に下山し大白沢山東肩に戻り、景鶴山に向けては定刻の10分前に出発。・1892mの標高点は南側をトラバース、その後は雪の樹林のトレースを辿り景鶴山西肩に到着。5年前と同様に斜上気味に北面をトラバース、前回は頂上直下と覚しき辺りから藪木を掴みながら藪の急斜面を強引に登って突破したが、今回は北面一体が45゚以上の藪木交じりの急傾斜の雪壁となっている。前回より先に直登したトレースがあったので、これを辿ることにした。ピッケルを刺し足場を1歩一歩固め、立木も利用した苦しい登り20分程で雪稜の一角に出る。左に10m程で懐かしい頂上板があった。雪の尾瀬ヶ原全体を俯瞰できる景鶴山は素晴らしい。今回来て熟々良かったと感じた。下山はナイフリッジの雪稜を景鶴山東の肩まで下り北面をトラバースして、BCへ帰着向かう。途中、大白沢山東肩からの下りでは本隊の加藤Lと澤田さんのコールを受け一緒に下山した。
西の肩から景鶴山 最後の登り
崖っぷちの頂上から西の方角 平ヶ岳をバックに強者女子と
大白沢山東肩から景鶴山(赤のGPSの軌跡はなし)
【コースタイム】
[Aパーティー]BC5:13…大白沢山東肩6:07…JP6:40…最低鞍部7:17…9:25平ヶ岳9:50…最低鞍部11:15…12:40大白沢山東肩11:50…14:38景鶴山14:50…大白沢山東肩16:45…BC17:15
[本 隊]BC5:24…大白沢山岩壁6:11…大白沢山北面トラバース…JP6:57…8:35白沢山(1952m)8:40…9:45平ヶ岳(2141m)10:02…大白沢東肩13:05…BC14:13
5月5日 快晴
今日は下山日、テントを撤収して辺りを綺麗にする。二晩お世話になったテント場、名残惜しい。猫又川二俣へ順調に下り、山の鼻に向けて順調に進む。この4,5日好天が続き入山日に較べて雪原の雪が大分解けてきている。雪穴が大きくなり増えているようだ。
鳩待峠への登りが、回を重ねる度に辛くなっていくのは皆さん同じだろうか。そんなことを思いながら、峠ではバスの予約と合わせて戸倉かもしか村・温泉も予約した。
2晩お世話になったBCを撤収 下山は足取りも軽快に
中間尾根下降点から猫又川左俣のSB徒渉点 GWの山の鼻キャンプサイトは賑わう
【コースタイム】
BC5:57…猫又川二俣6:58…8:10山の鼻8:20…鳩待峠10:00
記 相原