.17-4743          富士山雪山講習会           3月4,5日

 

     雪山山行のための講習会(歩行練習主体に一般的な雪上訓練)

 

         L加藤、SL妹尾、相原、大石、波多江、澤田、杉山、渋谷、風間、綾部、飯嶋講師 合計11名

 

数年前から妹尾さんと温めていた雪山山行のための講習会(歩行練習主体に一般的な雪上訓練)を企画した。自分達が覚えた数10年以前からでは技術も道具も変わってきているし、体力も減退している。学生時代からの山仲間の飯嶋さんが山岳ガイドをやっているので相談したところ快く引き受けてくれた。

 

  

 

昔の富士吉田が改名した富士山駅に10時30分に集合した。新宿からホリデー快速富士山1号という古い懐かしい車両に乗り、車窓より雲がまとわりついてる朝の富士山に挨拶した。携帯でメンバー確認の際に車内で山行準備を連絡したので、富士山駅ホームには冬山装備のメンバーが降りてきた。静岡県三島から参加の杉山さんと山梨県民の相原さんの顔もあり飯嶋講師も入れて11名と大所帯。

 

 

 

ジャンボタクシーと相原さんの車に分乗して出発。数日前に降った雨が山では新雪で五合目で30cmほど積もったそうだ。果たして市街から山に向かい始めると路面に雪が残り、中の茶屋では白くなった。ここでは富士吉田警察の出迎えがあり検問を受ける。警察官2名に登山計画書提出を求められ幾つかの尋問と下山後の連絡を。三立(みたて)タクシーさんが、雪道を馬返まで上がってくれて大助かり、直前の坂もなんとか登りきり広い駐車場にAさんの車を置いて帰っていった。

 

 

 

馬返より夏道を登って行くのだが、積雪は足首位だが凍結した上に新雪が積もり滑るので三合目でアイゼンを付けた。薄暗い樹林帯を抜けて明るくなり林道に出ると五合目佐藤小屋はまもなくだった。

 

 

 

当夜の佐藤小屋は我々11名と相客2名と小屋番家族3人で冬季は週末のみの予約営業だそうだ。担ぎ上げた缶ビールや飲み物で乾杯し談笑して夕食まで過ごす。夕食後も飯嶋さんがハーネス代用の細引きの締め方を教えてくれた。

 

 

 

冷え込んだ屋外では山頂方向に雪煙、奥秩父、八ヶ岳と南ア北部が白い、スバルラインの上に日没。足元には北富士演習場が広がり山中湖まで。夜は漆黒に星空と民家の夜景が美しかった。

一泊二食8000円(6月から値上げされるとのこと)、湯茶サービス、夕食は肉野菜鍋、朝食も鍋で吉田うどん卵付きと豪華だった。別棟のバイオトイレは温熱便座で大昔の惨状を知ってる者には信じられない。

 

 

 

未明、寒くは無かったが眠れず、3:半頃トイレに行きなお輝きを増した夜景を見た。早朝に暖房が入ったら熟睡して寝過ごしてしまった。慌てて出ていくと7時前で配膳中。トイレに出ると強風。戻ったら皆んなまだ鍋囲んで臨戦態勢だった、吉田うどんは腰が硬いのだ、やれやれ。

 

 

 

晴天、-3℃風やや強い(小屋番氏:穏やか)が全員、小屋前で完全装備。飯嶋さんに見せてチェックしていただく。冬装備初めての者も含めて緊張と高揚の顔々。

 

 

 

佐藤小屋(2320m)8:25出発してスバルライン方向に林道を行き、夏道よりその右手を積雪ヒザ下位のラッセル、トップ体験とラッセル交替。効率よく交替してパーティを進める練習、トップは歩幅、パーティの間が途切れないように、時々後ろ見ながらのスピード調整が大事。

 

 

 

そして六合目を目指して練習場所を探しながら進んでいく。山頂付近にはたえず雪煙。空は青く美しい。地形のせいか風も穏やか。巻積雲が流れてきて午後の曇り空を予想させてくれる。

 

 

 

六合目の2400m付近、凍結した斜面と4,5mの急な斜面でアイゼン装着の歩行訓練では斜め登降、直登下降、トラバース、方向転換。

 

 

 

それから、壁を前に前爪を使っての登降練習。

 

 

 

そして沢状地形に移動して滑り台のゲレンデ作りして滑落停止訓練。

 

 

 

 

 

繰り返しやると飯嶋さんの適切な指導で初体験とは思えない動作になっていくメンバーに感心したり。

 

 

 

たちまち終了予定時間になってしまった。わずか3時間少々。

 

再び、隊列を組んで皆さん満面の自信の笑みを浮かべて足取り軽く佐藤小屋に戻っていく。

 

 

 

休憩して、戸締り途中の小屋番さんに見送られて12:55往路を下山する。途中、樹林帯の吹き溜まりで雪崩ビーコンのデモをやった。飯嶋さん持参のビーコンの一つを発信側、残りを受信側にして探し出す練習だ。ビーコンとゾンデ棒は冬山携行用品、15分以内の捜索と救助方法。

 

 

 

携帯のアンテナが立つという二合目でタクシー呼びアイゼン外す。雪道をアイゼン無しで歩くのも大事な技術、慣れも大いにあるし。

 

馬返の先でタクシーに合流15:27して富士山駅に戻った。

富士山駅で解散(16:20)、山梨県民と静岡県民の仲間を見送る。世界遺産というのに3月の駅前は閑散としていて下山祝いするにもお店が見当たらず、飲み物を買い込み、ホームから薄曇りの空の巨大な富士山を眺めながら電車を待った。

 

 

 

予想外に混んだ車内で観光客の顰蹙(ひんしゅく)の視線を感じつつも、ささやかな下山祝のセレモニーを行った、若手は平気でしたが疲れ切ったおじさん達は必死に座席を確保して充実した二日間の酔いの余韻に浸るのでした。その後、下山連絡を富士吉田警察と会長と家族にして自分の山行終了としました。