No.4664

             北奥千丈岳から大烏山

                            2015929(),30()

                                L加藤 (会員外A)

 「奥秩父最高峰・北奥千丈岳(2601m)から麓の乙ケ妻(600m)まで標高差2000mの大下り」

 

友人のAさんから「北奥千丈岳から烏ノ尾根」に行こうという誘いが来たのは7月頃、愛読書になってしまっている松浦本によると*印3個の難コースだ。でもいろいろ調べてみると秋でも大弛小屋を早立ちすれば日のあるうちになんとか歩けそうだ。

行程が長く10時間前後で難路のため好天気を優先した。当初、30,1日の計画が低気圧北上の予報で1日が降水確率60%になり、止む無く一日前倒しにした結果、参加者が減り5名からAさんと私の2名となった。

 

 山下車で

 

塩山在住のYさんのご好意で塩山駅~大弛峠まで送っていただく、峠までのタクシイ代12000円が浮いて大助かり。大昔の記憶のオンボロ小屋が見違える素敵な樹林の小屋に荷物を置いて偵察に出る。雲がやや多いものの夕刻の日差しに展望台から見る金峰山や標高2000m越えの紅葉が美しい。小屋は素泊まりの我々だけなのにストーブ使用可が嬉しい。

 

 大弛小屋

 

翌朝早くに出発、延々の木段登り、朝焼けの富士山、金峰山がすでに目の高さだ。予報通り寒気が入って北風が午前中吹き荒れていたが空はピーカン。国師岳、北奥千丈と踏んでいく。国師岳は富士山の撮影ポイントとみえ大勢の着ぶくれたカメラマンがたむろしていた。

 

 国師岳

 

 北奥千丈岳から南下する烏ノ尾根

 

北奥千丈岳から烏ノ尾根へはまず、石楠花新道という文字通りシャクナゲの群生地を潜り抜けて下っていく。倒木は多いものの快適な道が続き朝のシラベ林越の陽ざしが美しい。樹林のなかの奥千丈岳山頂を過ぎてシラベ平という広い鞍部に出た。小川が流れる草原を見ながら、簡易舗装の鶏冠山林道で休憩していたら立て続けに作業車が通過して興ざめ。

 

 シラベの密林

 

 白桧平・鶏冠山林道

 

向かいの森へ20分ほど登りゴトメキに到着。左が大ダオ、黒金山方面だが踏み跡は寂しい。ここを右方向に折れるが踏み跡はなお薄い。

 

 ゴトメキ分岐

 

三つ目の高みの遠見山を目指してGPSとコンパス振りながら樹林を分けていく。まだ緑が濃くて見通し利き難くい。遠見山は大丸戸山といってその昔40年以上前、川崎精雄や望月達夫らの藪山の達人達が柳平(乙女湖)から苦闘の末登った大丸戸尾根の頭で「静かなる山」につづられている。

 

 遠見山

 

遠見山を過ぎると樹林下は笹に覆われ始めやがて、西斜面一面の笹原になる。富士山、南アルプスの山並みに目を奪われるが、ここはS30,40年代に盛んだった伐採跡地だ。口笛吹いて走って行けそうなグリーンフェースだがどっこい、膝から腰の笹原に隠れてる倒木に脛を嫌というほどぶつけるのがオチだ。

 

 

 伐採跡のグリーンフェース

 

 富士山

 

 南アルプス

 

2100m付近で意識して左へ下っていくと尾根が狭くなり1920mで砂利の余沢林道を横切る。この辺りを二の萱というらしい。牧丘町の立派な道標には大烏山と記されている。向かいの高みを越えるといよいよ大烏山だ。

 

 余沢林道

 

100mほど標高を下げた黒い頭が大烏山だった。出発から6時間、行程的にも半分踏破したことになる。乙女湖が見下ろせる狭い山頂だった。直下は薄暗く杣口林道を示す道標があった。近年、S社地図には林道まで下り一時間半の破線表示が入っている。

 

 大烏山にて

 

ここから烏ノ尾根は東に折れぐんぐん標高を下げていく。尾根すじは狭くなりアップダウン多く、錆びたワイヤーの束やら工事用具等が残っていた。

 

 馬止根場

 

 東御殿

 

馬止根場1772mは広葉樹に囲まれた小広い頭で、幅広の巻き道が残り、ワイヤーケーブルとともに木馬道の跡から荷役に馬を使っていたように思える。大久保峠の道標には馬頭尊の文字が記してある。

 

 大久保山

 

西御殿、東御殿とはっきりした踏み跡をたどり大久保山1323mに到着した。標高が下がると広葉樹の落葉にはまだ時季が早く、樹林の尾根筋は蜘蛛の巣だらけで滅入る、広く暗い植林のなかではコンパス歩行。今まで頼りにしていた赤布が早めに右手に誘うがこれは間違い。

 

 

大久保峠1005mに到着した。暗い植林の斜面に峠みちを追うとまもなく簡易舗装の林道に出た。途中、廃屋の集落は大久保地区らしい。小川を囲むように板塀が立てかけてあるので覗いてみるとワサビ田だった。元住人が育てているのかしら。広い村道に出た辺りが標高800mで携帯を取り出すとアンテナが立った。塩山駅前のタクシイを呼ぶと歩き始めて20分ほどで乙ケ妻の近くでクルマが上がってきた。16:35なので都合、11時間、標高差2000mの大下りの完了ということになる。

 

 

前日  塩山14:30=乙女湖(旧柳平)=大弛峠15:30  大弛小屋に素泊 \4500

30 4:起床 朝食 0 強風(頭上の雲早い)が午前中吹き荒れていた

小屋(2360)5:25…国師岳(2591)6:00…北奥千丈岳(2601)6:19(石楠花新道)…奥千丈岳(2409)7:18…シラベ平・林道7:58,8:15…ゴトメキ(2230)8:39(樹林濃く不明瞭)…遠見山(2234)9:18(左笹斜面)9:48…再び笹原…風収まり・尾根狭くなり下に林道…余沢林道(1920)二ノ萱10:50,11:10…大烏山1840)11:35,11:47(杣口林道分岐)…馬止根場(1772)12:27…西御殿(1536)通過13:25…東御殿(1487)13:52…大久保山(1323)14:51…大久保峠(1005)15:29…林道(簡易舗装)15:45(廃屋・大久保集落)…広い村道(TAXI呼ぶ)16:18TAXI到着16:35歩行:約11h   TAXI(\2710)で市内・塩山温泉の旅館で入浴(\500)  下山祝いは塩山駅ホームにて