No 4616
北アルプス「槍平・奥丸山」
--シーズン初めの冬山に登り、雪の付いた槍・穂高連峰の展望山行--—
2014年11月22〜23日(土・日)
前夜発・テント泊 曇りのち晴れ
( L)妹尾、正井、澤田、波多江
「槍が見えたぞー!!」雪と戯れる少年のような叫び声が一斉に上がった。中年四人組(68、63、60、55才)の歓喜溢れる顔が朝日に反射して光輝いていた。北アルプスのランドマークタワー「槍ヶ岳(3190m)」を目前に望む奥丸山(2440m)
の頂を独占した、山雀・中年四人組の至福の時であった。
<1日目・・22日(21日夜発)>
至福の時へのスタートは、前夜9時、西武池袋線「保谷」駅集合からであった。中央道をひた走ること三時間(松本インター)。高速道を降り国道158号を一時間弱で一日目の寝所にする、上高地の手前の安曇稲核にある道の駅 「風穴の里」に到着。四時間の仮眠で、05:30起床。新穂高温泉の深山荘・無料駐車場、午前7時45分に登山開始。新穂高ビジターセンター(1090m)に登山届を提出。右俣林道をゆっくり歩く。
昨年の大雪の印象が強く積雪を覚悟していたが、登山開始二時間を過ぎた白出沢出合手前でようやく雪面に今シーズンの第一歩を印した。
白出沢出合までの林道歩き(標高差460m)は2h40mかかった。いよいよ林道を離れ、山道をストック(ピッケル)を補助にノーアイゼンで、槍平(同440m)に午後2時10分到着。
さあ、出発 滝谷の雄姿
滝谷の沢を慎重に 到着、槍平小屋から
途中、滝谷出合では、穂高西壁のクラシックルートの雄姿を堪能することができた。広葉樹林帯のゆるやかな上りを初冬の柔らかな陽射しを浴びて、のんびりと雪の感触を楽しみながらの幕営地
槍平に入った。この広々とした大地に雪の刃がおろされたのは、平成19年大晦日の深夜であった。西側(奥丸山方向)から飛騨沢(右俣谷)を越えて襲ってきた雪崩で(8張・25人中)4人の岳徒が亡くなった。
今夕のテントは6張で、我々以外は明日の槍ケ岳登頂を目指すのであろうか、静かな夜となった。寝付いて3時間半、午後10時過ぎ、満天の星を抱いた静寂な槍平の大地が揺れた。神城断層地震の波が北アルプスを挟んだ南西側に押し寄せてきたのだ。妹尾・澤田組テントは爆睡中で、震度0であったようだ(笑い)。
<2日目・・23日>
4:00の起床に遅れてしまい、その後の雪山登攀準備に手間がかかる小生をベテラン山雀諸先輩は暖かく見守ってくれた。07時10分テントを出発したが、この遅れが帰りの高速渋滞の遠因となってしまった。標高差450mのピークまでの山行は、上り・下りとも快適であった。積雪量も50cm程でトレースがある。雲はあるが朝日に恵まれ山行には丁度良い気温である。
テント場 朝、槍平小屋から
夏道で1h30mかかる急登を一時間オーバーで午前9時40分、奥丸山の頂上を踏んだ。森林限界を越えたこの頂は四周見渡せる北アルプスの展望台である。西側は笠・抜戸岳(最後まで雲はとれなかったが)を擁し、北西方向には鏡平の先に、双六・三俣蓮華・樅沢岳の山々を見た。太陽に向かって東側前面に中岳・南岳、北穂高・涸沢・奥穂高・西穂高の峰が連なり、そして南部遠方に、焼岳・乗鞍岳を望んだ。なかなか見えそうで見えないのが「槍ケ岳」の姿である。
夜明け 真ん中が鏡平
到着時、まだ、槍は雲の中 南岳も
ゆっくり、雲が切れるのを待って、皆さんいっぱい写真を撮った
だんだん雲が切れて、小槍、槍 良さそうなところで槍をバックに記念撮影
穂高連峰 途中から槍平を見る
左から小槍、槍ヶ岳、大ばみ、中岳
真ん中の白い山が南岳、そこから右へ穂高連峰
黒い雲が西側から流れ、槍の下部からは雪雲が発生している。しかしそれらの雲が一斉にとれた瞬間、小槍そして大槍(槍ヶ岳)の鋭い穂先がすーと顔を出した。中年四人組の槍をバックに記念撮影を開始、各人の年賀状用写真まで撮ってしまった。会や家族へのメールにも余念がない。下山を開始したのは、登頂後一時間を経過した10時40分であった。
テント撤収して午後0時45分出発。滝谷避難小屋を13:45に通過、白出沢出合には15:10、先行してもらった澤田さんは新穂高ビジターセンター着は16:15、三人の深山駐車場到着は17時を指しかかっていた。
林道歩きは単調で下山の疲れを伴い、なかなかピッチを上げることができなかった。 (波多江 記)。