No.3064 黒山三滝より高山不動、(越生から西吾野)   3/13

L.丹羽一二、渡辺徳子、筑田易子、鈴木喜代江、吉田緑、大久保信昭、ゲスト 青木一夫(OB)、山田小百合

早春の一日、梅の花の香りに誘われて、山雀グループの仲間たちで静かな奥武蔵を歩きました。東武線「池袋」を8時の特急で出発し越生着9時10分、黒山行9時20分発のバスに乗りました。越生梅林観梅の時期なのでバスは満員でしたが、すぐ後に臨時バスが待っていました。黒山着10時10分。バス代340円です。

橋を渡って右折、黒山三滝に向かい間もなく左に天狗滝が現われました。遊歩道がついていますが、途中で進入禁止になり滝壷までは入れません。落差20mでも水量が少なく、ささやかな感じの滝です。少し進んだ土産屋の先に渓流を渡る橋があり、橋の右側に男滝、女滝が流れ落ちていました。小さな滝ですが、昔から修験者の修行の場所だったとの事で、幽邃な雰囲気に満ちていました。男滝の手前右側の岩に刻まれた石段を登ると、薄暗い観音様を祭った岩屋があり、更に石段を登ると巨大な不動明王の剣の石像、更に細い道を進むと渓流で行き止まり。右側の岩の足跡を辿ってよじ登ると少し広い道、その先が車の通る舗装道路に続いていて、まるでタイムトンネルを潜った感じです。

指導標が一つも無いので、コースを心配しながら舗装道路を進む事30分、車道が右に折れて山を登っていく所で、直進する未舗装の林道にぶつかりました。林の中の林道を少し進むと、関八州見晴台への矢印のついた指導標を見つけ、道が正しかった事を確認して一安心しました。昔の修行の道は何処までも真っ直ぐに奥の院に向かって伸びています。感心しながら進むと行き止まりになって左折、ここから明るい山道を登り、尾根の上で舗装道路に出ると花立松の峠です。道路脇の黄色いマンサクの花が満開で、我々を歓迎しているようです。舗装道路「奥武蔵グリーンライン」が高山不動に向かって伸びていて、この道を歩いているハイカーの姿も見えました。しかし、吉田緑さんが正しいコースを発見、先行して見落としてしまいそうな右の山肌の細い道を登ると、此処が本当の花立松の峠、明瞭な山道が奥の院・関八州見晴台まで続いていました。ハイカーの為の親切な指導標が欲しい所です。喘ぎ喘ぎ登る事30分、高山不動奥の院・関八州見晴台に着きました。

天気も良く、メンバーに恵まれ、それぞれが持参のお弁当を開くと、これが大変な豪華版、忽ち宴会山行にと一変しました。春の女神の緑さんは早速ビールとカマンベール、筑田さんはビーフのたたきとミニトマト、渡辺さんは特製ドレッシングの野菜サラダ、青木さんはからし菜のオシタシ、待ってましたとリーダー得意のワインはサンジョベーゼ、フランスパンとチーズで豪華なランチタイム、ゆっくり楽しんでいたら、何時の間にか我々のグループだけが残っていました。奥の院のお堂と関八州見晴台で記念撮影。ぐーっと周囲の山々を眺めました。

彼岸前とは言え既に春、360度に広がる素晴らしい山並みには、うっすらと春霞がかかっていました。ゴツゴツと鋭角に削られた痛々しい武甲山が直ぐ近くに見えます。詳細に描き出された山名案内図と山々とを見比べながら、時の経つのを忘れました。感心するほど多くの山が、案内図に描かれています。実際に遠くを見詰めていると、目標とした山がうっすらと浮かび上がって見えてきます。これにはびっくりしました。

山頂で楽しむ事1時間、高山不動に向かって下りました。この辺のミツマタはまだ白い蕾のまま、やはり標高の高さを感じました。草むらには水色のイヌフグリの群落、イロはムラサキ春のイロ、と歌われたスミレの花がたった一つだけ咲いていました。豪壮な重要文化財の不動堂に到着、無事に到着した事を喜び「おみくじ」を引くと、何と第二凶です。待ち人おそし、失せ物出でず、その他すべて思わしからず。それに加えて「甘い蜜は棘からなめねばならぬ」との格言まで付いていました。お参りも早々に西吾野駅に向かって下山、途中の萩の平の茶店で一休み、名物の甘酒を頂きました。

この茶店の元気なおばさんは、なんと年齢70過ぎ。お母さんの代から茶店を守り、山の下の自宅から茶店まで、重い水や飲み物などを一人でバイクで運び上げているとの事、茶店の脇に止めてある小さなバイクを見てびっくりしました。茶店周辺の高い杉の木も自分で枝打ちをし、雑木を切ったり山道を整備したり、案内板を付けたり、大変な仕事です。「なあに、この山は私の持ち山なので」には、二の句が継げませんでした。私たちは、おばさんの家の庭先を通らせて頂いていたわけです。女性だけで、おばさんを囲んで記念撮影をしました。「西吾野までは、山道15分国道15分、30分ほどで着きますよ」と教えて貰ったのですが、えっ、この山道を荷物を着けたバイクで走るの、と感心する程の山道、私たちは急ぎ足で45分、3時15分に西吾野駅に到着しました。

黒山三滝からのルートはファミリーハイクと案内書に出ていますが、予想外にハードなコースでした。実際歩く人も少ないのではないかと思います。行き逢ったハイカーに、黒山から来ましたといったら、えーっと怪訝な顔をされました。それだけに静かな自然にめぐまれて、魅力の有るコースと思います。

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