No.3050 雪に泣かされた御正体山 2/7

L.丹羽、参加者 全7名

朝8時新宿発のホリデー快速「冬の河口湖号」では、都留市着が9時45分、これでは9時20分発の月夜野行きバスには間に合いません。駅前から 2台のタクシーに分乗、今日の登山口「道坂トンネル」まで走りました。タクシー代は 3700円でした。

道志の旧道を歩き、閉鎖された旧トンネルを見て左の山道に入り、直ぐ右側の登山道の急登になります。雪が凍りついて滑りやすく、早速スパッツとアイゼンを着けました。
暗いジグザグの登りも僅かで終わり、明るく広い稜線上の落葉松の植林帯になります。雲一つ無い青空の下、右側に雪の赤石岳、その右に白く輝く八ヶ岳連峰、奥秩父の連山と、この時期でしか味わえない早春の山岳パノラマに酔いながら進みました。

ザックザックとアイゼンの音を響かせながら進む雪の山道は、澄んだ空気と明るい日差しの中で、本当に楽しいコース。この先で思わぬ地獄の落とし穴があるとは、予想もつきません。前方に聳える道志山塊の最高峰「御正体山」の頂上まで、このまま楽しい山行が続くものと想像し、数センチ積もった雪の上を楽しく気軽に歩き続けました。

幾つかの急な登り下りも、アイゼンの効果を実感しながら難なくこなし、山頂への最後の急登の手前のピークで一休み。ブナの巨木のオブジェと白い雪のコントラストに目を楽しませ、思わずシャッターを切りました。この辺から靴の裏がガクガクして来て、まるで天狗の一本歯の高下駄を履いて登っているような感じで歩きにくい事この上なし。アイゼンの効きが悪くなったのかと簡単に考えて、脚をふんばって力任せに、汗だくになって無理に歩き続けました。

後ろの者から、アイゼンに氷が詰まっていて危ないと声を掛けられ、立ち止まって見ると、夏山雪渓用の4本爪軽アイゼンの爪の間に雪が詰まって凍結し、どんどん氷が付いて、本当に一本歯です。ストックで突ついても、靴を岩にぶつけても、硬い氷は取れません。アイゼンを外して岩に叩き付けて落としても、歩き始めると直ぐにまた凍り付いてガクガク歩きになります。最後の登りを残すだけの白井平分岐の鞍部に着いた時には、もう膝も腿も痙攣を起こす寸前の最悪の状態でした。靴で岩を強く蹴って結氷を落とした衝撃が、まともに膝と踝に響いてきました。

御正体山最大の難所、頂上へ一気に登る山道は、とうとうアイゼンを外して、ストック 2本を頼りのフラフラ登り、それでも我慢して休まず行こうとしたら、途中で力尽きて登れなくなって、仲間から脱落です。休み休み、ヨロヨロと 1682mの御正体山頂上に辿り着いた時は、既にグループに 20分も送れていました。着くと直ぐに、北方の尾根を細野に向かって下山。雪山経験豊富な友人の 4本爪アイゼンを借りて(友人は技術
でカバー)、雪の凍り付いた急な坂道を、苦労して下りました。勿論、歩行予定時間を遥かにオーバー、細野の町に着いた時は既に真っ暗です。17時の終バスには間に合わず、電話でタクシーを呼んで都留市まで、痛む足を労りながら帰りました。

夏山の雪渓登り、霜解けの山道などには、軽くて便利な軽アイゼンですが、氷点下の雪の中では、材質構造の違いか、たった数cmの雪なのに凍り付いてしまって危険な状態になる事を教わりました。ハイキング用の、 4本爪の間に更に小さい 4本爪を立てた、アルミダイカスト製の銀色に輝く可愛いアイゼンなのです。

これが若し単独行だったら、歩けなくなって、凍てつく雪の中で大変な事になったと、山を甘く見ていた(雪が無いと推定)事を深く反省させられる山行でした。

恥ずかしいロートルタイムになりましたが、御参考までにコースタイムを書きます。

道坂登山口発 10:30 - 1228m峰 11:30 - 岩下の丸 11:50 - 牧の沢山 12:20 - 白井平分岐の鞍部 13:30 - 御正体山山頂 14:40 - 峰宮跡 15:10 - 水場 16:50 - 細野・御正体入口着 17:40

殆どまとまった昼食時間もとれず、行動食のみ、都留市駅に着いたら流石に腹ペコでした。次回はもっと余裕のある春山を目指すつもりです。

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